長く売られていたパワーアンプ用ICのNJM2073は残念ながら製造終了となってしまったが、今ではUTC(UNISONIC TECHNOLOGIES CO.)がM2073という名でセカンドソース品を作っている。
M2073とNJM2073とで違いがあるのだろうか。
また、ピン配置がNJM2073と同じで互換性があるTDA2822ではどうか?
前回(1)で作った基板を使って確認してみよう。
まず、前回の回路①(入力のコンデンサなし)でM2073Gの正弦波の波形をみてみよう。周波数は50kHzである。

やはり、正弦波はNJM2073と同様にギザギザの形に歪んでいる。
次にM2073の方形波の波形をみると、以下のようになる。

やはり、NJM2073と同様にギザギザしている。
そこで、コンデンサを追加して修正した回路②では、正弦波は以下のように改善される。

方形波も以下のようにNJM2073と似た波形を示す。

方形波ではサグがみられ、これは高調波の位相が回転しているということを示している。
次に、ピン配置が同じでNJM2073と互換性があるTDA2822ではどうか?
TDA2822のオリジナルはSTMicroelectronics製であるが、私がこれを持っていない。
今回はUTC製のセカンドソース品のTDA2822Lを使っている。
なお、TDA2822は模造品が多いので要注意である。私もパチモンを一種類持っているが、これはノイズが多くてぼやけた音がする。
TDA2822も外付け抵抗なしのゲインが高い(約89倍)ので、今回の回路定数をそのまま同じく適用できる。なお、TDA2822の定格電圧は12Vであり、2073の15Vより低いので注意が必要である。
修正前の基板①で正弦波の波形をみると次のようである。

TDA2822の正弦波は2073よりも歪みが少ない。
方形波では以下のようである。

TDA2822の方が2073よりギザギザが少なく、すっきりした波形である。
では、コンデンサを入れて修正した基板②ではどうだろうか。
正弦波は以下のようになる。

やはり、波形の歪みが改善している。
修正後の基板②でTDA2822の方形波をみると以下のようである。

やはり、M2073と同型のサグが認められる。
UTC製のM2073やTDA2822はNJM2073と音質に差があるのだろうか?
同じ回路基板に音源とスピーカーをつなげて、ICを差し替えて聴き比べてみよう。

M2073はNJM2073と比べるとクリアですっきりしていて、線が細い印象を受ける。楽器の音がそのまま聞こえる感じで悪くない。
NJM2073の方が鮮烈で厚みがある音で、オーケストラを聴くとわかるが、迫力がある。
それらの音質の差はわずかであり、どちらを使っても聴感上良好であった。
TDA2822はNJM2073と比べると、クリアで音がマイルドで丸い感じである。BGM的な聴きやすさがある。音のダイナミックさはNJM2073の方があるようだ。
TDA2822はまったく問題ない。これでOKである。
NJM2073もM2073もTDA2822も音質良好であり、ホームオーディオ用途として十分実用になる。出力は2073は1WでTDA2822は0.65W程度だが、スピーカーが低能率でなければ、常識的な音量で音楽を聴くには十分である。外付け部品が少ないので、外付け部品による音質への影響は比較的少ないと思われる。これらのアンプは、他のアンプと音質を比較する際の基準として使えそうだ。
〈まとめ〉
NJM2073のセカンドソース品M2073では、正弦波・方形波の形がNJM2073と類似し、基板にコンデンサを挿入したら波形が改善した。互換品TDA2822はNJM2073と波形がやや異なるが、コンデンサ挿入で同様に波形改善がみられた。どちらのICも今回作製した基板で問題なく作動し、音質は良好であった。


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